慣性系において、力と加速度で運動を記述する枠組みです。速さが光に比べ十分小さい($v \ll c$)などの範囲で、身の回りの機械・天体の最初の近似として強いです。歴史のざっくり流れは 古典力学史 を参照してください。
運動の法則(イメージ)
- 慣性の法則(第1法則) … 外力がなければ、静止は静止のまま、等速直線運動はそのまま。
- 運動の法則(第2法則) … 力と加速度の関係式(次節)。多くの入門はここを中心に据える。
- 作用・反作用(第3法則) … 2 物体同士の力は常に向きを逆にしてペアになる。
注意:式は慣性系で書くのが基本です。回転目盛りのついた非慣性系では、見かけ上の慣性力を足す、という別ルートが要ります。
第2法則の式の意味(F = ma)
ベクトルでは次の関係式が中心です。
$$ \mathbf{F} = m\mathbf{a} $$
スカラー(向きを一方向に射影した形)で書くと $F = ma$ と表されることがあります。各記号の役割は次の表のとおりです(英語の頭文字と対応しやすいです)。
| 記号 | 語のイメージ | 意味 |
|---|---|---|
| $F$ | Force(フォース) | 力。押す・引く原因の量。SI 単位は N(ニュートン)。 |
| $m$ | mass(マス) | 質量。動き方を変えにくくする量。SI 単位は kg。 |
| $a$ | acceleration(アクセラレーション) | 加速度。速度の変化の速さ。SI 単位は m/s²。 |
厳密には $\mathbf{F}$ と $\mathbf{a}$ はベクトル(向きを持つ)で、$m$ は(この範囲では)スカラーとしてよい、と整理するのが普通です。
式が言うことの直感:同じ質量なら力が大きいほど加速度が大きい。同じ力なら質量が大きいほど加速度は小さい($a = F/m$ と同じ情報)。
単位のつながり:1 N = 1 kg·m/s² と定義されるので、$F=ma$ の**次元(単位のかけ算)**がそろいます。
式の変形(a = F / m)
$F = ma$ を加速度 $a$ について解くと $a = F/m$ になります。同じ関係式で、見せたい未知量だけが変わります。
- 力がわかっているときに、どれだけ加速するかを考える → $a = F/m$ が読みやすい。
- 加速度がわかっているときに、どれだけの力かを考える → $F = ma$ が読みやすい。
単位のチェックでは、$a = F/m$ の次元が N/kg = m/s² となり、加速度と一致します。
SI(国際単位系)の一言
SI(エスアイ)は 国際単位系(フランス語 Système international)の略で、長さ・質量・時間などの単位を世界でそろえるための枠組みです。力学では m(メートル)、kg(キログラム)、s(秒) がよく出ます。制度や全部の基本単位は 測定・不確かさ・単位系 で掘り下げられます。
力の単位 N(ニュートン)
N は ニュートンの記号で、力の SI 単位です(記号は大文字の N。小文字の n はナノなど別用途)。
1 N は、質量 1 kg の物体に 1 m/s² の加速度を与える力の大きさと定義されます。名前は ニュートン(人名) に由来します。
直感の例:地表付近では、約 100 g のものにかかる重力はだいたい 1 N 弱のオーダーです。重力加速度をおよそ 10 m/s² とおくと、質量 0.1 kg のとき $0.1 \times 10 \approx 1$ で、力の大きさはおおよそ 1 N。正確な値は場所で変わります。
加速度の単位 m/s²(メートル毎秒毎秒)
m/s² は 加速度の単位です。速度の単位 m/s に対して、「1 秒あたりに速度がどれだけ m/s 変わるか」を表すので、秒が二度かかるイメージで m/s² と書きます。
例:加速度が 2 m/s² のとき、(単純化した話では)毎秒、速度が 2 m/s ずつ増える読みができます。
力のなかま(例)
- 重力、張力、摩擦力、法線力、バネの戻る力 など 接触・場 から定式化しやすいもの。
- 惑星のスケールでは 万有引力(距離の二乗に反比例する向心力のイメージ)が代表例。
他の言い方との関係
同じ物理を、仕事とエネルギーで書くと別の直感が得られます(仕事とエネルギー)。同じ内容をラグランジュ・ハミルトンで整理するのは 解析力学 側の話です。